「ナショナルサイクルルート」として受け入れ環境が整備されているか
サイクリストが安心して宿泊可能な環境を備えていること
サイクリングルート直近にサイクリスト向けの宿泊施設が概ね60kmごとにあることなど
しまなみ海道のサイクリングルートは、おおむね70kmとされている。
つまり、「宿泊施設が概ね60kmごとにあること」というのが条件であれば、しまなみ海道サイクリングのゲートウェイとなる、尾道側と今治側の両端に、サイクリスト向けの宿泊施設が、最低でも1か所ずつあればいいということになる。
ところが、しまなみ海道の「サイクリスト向けの施設」とすれば、たった2か所どころではなく、多くのサイクリング専用の宿泊施設がある。
ちょっとざっと頭を巡らせただけでも、「尾道」側でいえば、サイクリスト専用のホテル「ONOMICHI U2」があるし、「今治」側で言えば、サンライズ糸山も宿泊施設とレンタサイクルターミナルを兼ね備えた、立派な起点となる宿泊施設である。
海外向けサイクリストにはゲストハウスも充実
海外向けサイクリストには、ゲストハウスが人気が高いという話を聞く。
しまなみ海道のサイクリングコースの各所には、様々なゲストハウスがあり、それぞれのゲストハウスが、独自に海外向けに宿泊情報を紹介している。
今治駅前にある、NPO法人「シクロツーリズムしまなみ」が運営するゲストハウス「シクロの家」や、尾道に2019年に開業した「IKIDANE CYCLIST HOSTEL」などは、清潔でホスピタリティーも高いということで、サイクリストには評判のゲストハウスである。
「シクロの家」などは、「4割くらいは外国からのお客様ですよ」ということである。
地域の魅力を満喫でき、地域振興にも寄与する環境を備えていること
しまなみ海道の利用人数の推移をグラフにしてみた。(※)
(※統計データの不明な年度は、データのある年度を平均的に補完してグラフにしている。)
(参考データ)国交省令和元年9月9日自転車活用推進本部決定資料
しまなみ海道の開通当初は、利用人数は今に比べると僅かだったが、平成20年以降は、大きくサイクリング利用人数が増えている。これは、まぎれもなくしまなみ海道のサイクリングが、地域の魅力を満喫できるののであることによるといえると思う。
ダイナミックなシーンが展開する「しまなみ海道サイクリング」
しまなみ海道のサイクリングをまだ体験したことがない人は、「ずっと橋で繫がれているから、のんびりとサイクリングできるんでしょ」と思っている人も追いようであるが、実は、しまなみ海道のサイクリングコースは、様々にドラマチックなシーンが展開する、普段自転車に乗っていない人にとっては、なかなかハードなサイクリングコースである。
というのも、しまなみ海道では、橋をサイクリングできるのは、島と島とを繋いでいる間だけど、橋と橋との間は島内の一般道路を走ることになる。
この一般道路は、選ぶサイクリングコースによっては、様々にダイナミックなシーンを見せてくれる。
このダイナミックなシーンを堪能できること。
しまなみ海道という、「島と島を結ぶ海を渡る橋がサイクリングコース」になっていること。
このことが、「瀬戸内という多島美」を満喫できるサイクリングルートとして、「ナショナルサイクルルート」に相応しい地域の魅力を満喫できる条件を満たしていると思う。
島ごとに特徴がある地域の魅力
しまなみ海道にある島々は、橋でつながる以前はそれぞれの島の往来が不便であったため、それぞれの島が特徴のある地域の魅力あるシーンが展開される。
ざっと考えてみるだけで、それぞれの島の魅力を、一言で「キャプション」を付けることもできる。
- 大島:石と海賊の島「大島」
- 伯方島:伯方の塩と造船の島「伯方島」
- 大三島:神の島「大三島」
- 生口島:柑橘とアートの島「生口島」
- 因島:花の島「因島」
- 向島:プチリゾートを体験する「向島」
このように、島々それぞれに地域ごとの魅力があり、これらの魅力を上手に発信しながら、地域の活性化につながっていると思う。
自転車のトラブルに対応できる環境を備えていること
地元との協働による休憩スポット・レスキューポイントの整備
「しまなみサイクルオアシス」とは、地元ボランティアの協力により、サイクリストが休憩をしたり、パンク修理のための工具を貸し出したり、給水のサービスを受けたりすることができるスポットである。
しまなみ海道の中には、このサイクルオアシスが、広島県側の島しょ部だけで60件以上、愛媛県側の島しょ部だけで30件以上の登録がある。(尾道市内、今治市内は数量から除いてある。)
- 広島県側のサイクルオアシスの情報はこちら⇒HIROSHIMA information
- 愛媛県側のサイクルオアシスの情報はこちら⇒しまなみサイクルオアシス
しまなみのサイクリング中に気軽に立ち寄り休憩ができ、地域の人々との交流が図れる“おもてなし”の場所が「しまなみサイクルオアシス」であり、簡単な工具の貸し出しも受けることができるので、自転車のトラブルにも対応できる整備が、地域の協力のもと成り立っている。
レンタサイクルのトラブルはレンタサイクルターミナルが対応
「しまなみ海道」のレンタサイクルターミナルは、サイクリングコース内に13か所あるのもしまなみ海道のサイクリングの特徴である。
サイクリングコース内に13か所のレンタサイクルターミナルがあることで、レンタサイクルにトラブルが発生した場合は、パンクの修理やレンタサイクルの交換などに、レンタサイクルターミナルのスタッフが駆けつけて、速やかに応対してくれる。
レンタサイクルのトラブルについては、対応できる環境が整っている。
しまなみ島走レスキュー
しまなみ海道の地元の有志により、自転車のトラブルに対応する「しまなみ島走レスキュー」というサービスが行われている。
「しまなみ島走レスキュー」とは、「レスキューポイント」と「レスキュータクシー」という二種類のサービスがある。
レスキューポイントとは、しまなみ海道の中にある「自動車修理会社」や「ガソリンスタンド」などがタッグを組み、できる範囲で自転車の修理を行ってくれるサービス。
サイクルショップのような専門的な対応はできないが、応急的に移動ができる程度の処置に対応が可能である。
レスキューポイントまで移動ができない場合は、地元タクシー会社が協力してくれる「レスキュータクシー」というサービスがある。
自転車ラックを設置した車両がレスキューポイントへの移動や病院までの搬送をサポートしてくれる仕組みができているのである。
「ナショナルサイクルルート」として情報発信できる環境
誰もがどこでも容易に情報が得られる環境を備えていること
しまなみ海道のサイクリングコースにおいては、主要の休憩スポットやサイクルオアシスにおいて、フリーWIFIを利用することができる。
引用元:INTERNET Watch
西日本電信電話株式会社(NTT西日本)愛媛支店とNTTメディアサプライ株式会社は22日、愛媛県内にキャリアフリーのWi-Fiスポットを整備し、サイクリストらに無料提供すると発表した。
まずは10月26日までに、愛媛県今治市と広島県尾道市を結ぶ本四連絡ルート「瀬戸内しまなみ海道」のサイクリングロード(全長75km)において、周辺の休憩ポイントや観光スポット、宿泊施設などを中心に150カ所を整備する。同日開催される「瀬戸内しまなみ海道・国際サイクリング大会」を見据えたものだ。これに並行して、松山城や道後温泉など、愛媛県内の観光地にも設置していく。
尾道市Wi-Fiフリースポット
尾道市では、地域の賑わい創出のため、主要な公共施設におきまして、Wi-Fiフリースポット(公衆無線LANアクセスポイント)の整備を推進しており、しまなみ海道の中の主要な休憩スポット周辺では、フリーWi-Fiを利用できる状況になっている。
- しまなみ海道内の尾道側の主要なフリーWi-Fiスポット
尾道駅前港湾駐車場(レンタサイクルターミナル)・尾道市民センターむかいしま1階ロビー・向島洋らんセンター・因島アメニティ公園・本因坊秀策囲碁記念館・瀬戸田サンセットビーチ・瀬戸田市民会館・瀬戸田観光案内所ほか
えひめFree Wi-Fi
しまなみ海道の中で、愛媛県側においては、無料公衆無線LANサービス「えひめFreeWi-Fi」を、「えひめFreeWi-Fi」のロゴを掲示している施設で利用することができる。
- しまなみ海道内の愛媛県側の主要なフリーWi-Fiスポット
サンライズ糸山・道の駅 よしうみいきいき館・道の駅 伯方S・Cパーク マリンオアシスはかた・JiBaカフェ 能島・よしうみローズ館・道の駅 多々羅しまなみ公園ほか
「ナショナルサイクルルート」としての取組体制
官民連携によるサイクリング環境の水準維持等に必要な取組体制が確立されている事例
しまなみ海道のサイクリングにおいて、官民が連携して、いろいろな取り組みやイベントが開催されているが、2ka-tsukaが思うに、もっとも官民連携を象徴している取り組みは「しまなみ海道の自転車通行料金の無料化」ではないだろうか。
しまなみ海道の自転車通行料金の無料化とは
しまなみ海道のサイクリングロードの料金の無料化とは、愛媛県、広島県等や各企業が本来であれば、自転車の通行料金が徴収されるサイクリングコースの橋の料金を、減収の一部を負担することにより、継続して連携し、無料化を行っている。
本四高速より引用
JB本四高速は、広島県、愛媛県及びしまなみ海道自転車道利用促進協議会と協力して、より多くのお客様に「瀬戸内しまなみ海道」のサイクリングを体感していただくため、自転車通行料金が期間限定で無料になる企画割引「しまなみサイクリングフリー」を実施しています。このたび、地元自治体等と協力して、瀬戸内しまなみ海道のご利用を一層促進し、観光振興に寄与するため、これまで2019年3月末までとしておりました割引の実施期間を、2020年3月末まで延長することといたしましたのでお知らせします。
この連携は2014年からずっと継続されており、毎年年度末になると、「来年度の【しまなみサイクリングフリー】期間の延長について」という案内が公表される。
しまなみ海道において、もっとも「官民連携」の仕組みとなっているのは、この「しまなみサイクリングフリー」だと、2ka-tsukaは勝手に解釈している。
「しまなみ海道のサイクリングコースが「ナショナルサイクルルート」に相応しい条件を備えてい」るまとめ
しまなみ海道のサイクリングコースが「ナショナルサイクルルート」の候補として選定されたということで、しまなみ大好きの2ka-tsukaとしては、是非「しまなみ海道を「ナショナルサイクルルート」として認定して欲しい」と思い、50回以上しまなみ海道を利用している体験に基づき、2ka-tsukaなりにまとめてみた。
あらためて見てみると、しまなみ海道ほど、日本の「ナショナルサイクルルート」認定の第一号として、相応しい場所なないのではないだろうか。
是非、しまなみ海道が「ナショナルサイクルルート」として認定され、地域がより活性化することを、切に望みたいと思うのである。